俺のギター部屋ブログ

70年代フォークソングは懐メロか?

高校時代の夏休み、NHKの「思い出のメロディ」という番組の放送を、両親は楽しみに待っていたような記憶があります。

 

大正生まれの父と母が、淡谷のり子の「別れのブルース」や岡晴夫の「憧れのハワイ航路」を聴きながら「やはり昔の歌が一番いいね」と嬉しそうに話すのを聞いて、私は「それにしても昔の流行歌はサウンドがダサいな」と思ったことも憶えています。

 

当時、私はボブ・ディランやポール・サイモンの曲にかぶれていて、日本の70年代フォークのレコードなども買い漁っていた筋金入りのフォーク少年でした。

 

「あれから40年…」と書くと、まるで“きみまろ”のようですが、今では自分があの時代の両親とほとんど同じ世代です。

 

先日、友人に誘われて新宿ゴールデン街のとあるbarのライブを聴きに行きました。

 

10席程しかない狭い店のカウンターの中にその店のママ(50代)とギター2人とベースの4人が入り、2時間ぶっ続けで吉田拓郎の歌を歌うその催しは、すでに立ち見で40人ほども埋まっていました。予定の時間丁度に歌が始まるとお客さんの殆どは涙を流さんばかりにママの歌に聴き入り、歌の合間にはまるであの日の父と母のように「この頃の“たくろう”は一番良いねえ!」と囁き合っていました。

 

70年代フォークはごく一部の曲をのぞき「作家の歌」です、「歌」ではなく「歌う人の人格」が重要でした。

人は“たくろう”の歌を歌いながら「あのころの吉田拓郎」を思い出すのです。歌ではなく人を。

 

だから70年代フォークは懐メロにもスタンダードにも到底なれない「(歌以前の)別のなにか」なのだと思います。

(文中敬称略)

 

つま恋

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