俺のギター部屋ブログ

明日泣く

今日は12月30日、コロナ騒ぎに翻弄された2021年も残り少なくなりました。

今年も世界中で色々な事がありましたが、教室にとって一番大きな出来事は『俺のギター部屋』の命名者で、私の40年来の師匠である作詞家・喜多條忠先生が亡くなってしまったことでした。享年74歳でした。

 

 

先生が癌に罹ったことを知ったのは2020年3月のある日、レッスンの合間に気まぐれに先生に電話した時が初めてでした。その時先生はタクシーで移動中で、「お前はいつも俺が具合の悪い時にばかり電話をかけてくる」ととても不機嫌でした。それでいて1時間近くも電話を切らずあれこれ話をしてきて、最後に「癌でしばらく入院するから」ということだったので病院の名前を聞き、「見舞いに行きましょうか」と言うと「コロナ禍だから無理だよ」とすげなく断られました。

 

元気な先生にお会いしたのは2019年2月に渋谷でやった『CONCERT & ART EXHIBITION(私の絵の展覧会とライブ)』の時が最後で、ライブが終わりお客様を見送りながら二人で立ち話をした時は「やっぱりお前の歌の中では『Marsha Masonが好き』が一番良いな」と先生が言うので「あれは20歳の頃に初めて作った歌なのに、それじゃあまるで俺は還暦過ぎてもまったく進歩が無い人間みたいじゃないですか」と笑って反論すると、「俺だって70過ぎでまだ『神田川』を超える歌を書けてないんだよ」と言って二人で笑い合ったことを思い出します。

 

先生が亡くなってからまだ日が浅いある日のレッスンのとき癌研に勤務する生徒様が、「想像を絶する過酷な治療に2年近くも耐えた喜多條先生は本当に良く頑張られたと思います」と言ってくれました。そのときは悲しくて落ち込んでいる私に、「限られた条件の中でも人は頑張って生きなければいけないんだよ」と先生が教えてくれたような気がしました。

 

20代のころ毎日先生のお宅にご飯を食べに行き、いつも散々遊んだ夜中に「中林、今日はもう帰っていいよ」と先生が言うまで帰らなかったのですが、今年11月6日にお宅に呼ばれお見舞いに行った時の先生の最後の言葉は、あの頃と同じ「中林、今日はもう帰っていいよ」でした。それから2週間後の11月22日午前5時に先生は永遠に旅立ちました。

 

俺のギター部屋は作詞家・喜多條忠が命名した大人のためのギター弾き語り教室です。当教室では一人ひとりの経験や好み、個性にあわせたレッスンプログラムを使用し、マンツーマンによる個人レッスンを行っています。

 

先生のご冥福を心から祈っています。

 

喜多條 忠(きたじょう・まこと) 1947(昭和22)年10月24日生まれ、大阪市出身。早大文学部中退。ラジオ放送作家から作詞家に転身。代表作はかぐや姫の「神田川」、梓みちよの「メランコリー」、キャンディーズの「暑中お見舞い申し上げます」など多数。日本音楽著作権協会(JASRAC)理事、日本作詩家協会名誉会長を務めた。

 

DSC_0817 (4) - コピー

DSC_0755 (2)

Marsha Masonが好き

明日泣く

喜多條忠先生登壇 2019021

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>